駒木立(岩手)

54 駒木立(987m){コマキダチ}

県=岩手 田代平高原

リーダー=堀切さん

同行者=七時雨の自然と語らう会

登山日:1999年7月25日


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Outdoor Style サンデーマウンテン

 七時雨山荘から眺める、異国を感じさせる大草原の後ろ盾に、寝そべった牛の背中のようにどっしりとした山容の裾野を引いている田代山と駒木立。

七時雨山荘
田代高原から 田代山(左)と駒木立(右)

 遠くでカッコウが鳴いている。長閑な草原の中の路を進み、車道を横切って放牧地の端を歩いて棚を開けて進んだ。山道へ入って暫くして、途中から藪の踏み跡を辿り、新しい幅のある山道に飛び出す。息切れを癒すため、花々を観察しながらゆっくりと急坂を登り、明るく開かれた人工的に四角に伐採された斜面に出た。リーダーの話では山荘の主人の弟さんが、パラグライダーの講師を務めていて、ここから素晴らしい田代平を旋回するのだと言う。それは、やってみたくなる気分になる。

 やがて主稜へ続く清々しいブナ林を登り続けると、石がゴロゴロとした歩き難い露出地を辿って、セスナ機の遭難碑の建つ場所で一息入れた。林床にはウツボグサ・ヒヨドリバナ・ミヤマホツツジが彩りを添えていた。

ウツボグサ
ヒヨドリバナ
ミヤマホツツジ

 更に急坂を登り切ると、清々しい涼風が吹き抜ける稜線上に飛び出した。白色のヤマハハコとピンクのノハラアザミが群生して見事なものだ。此処は左の稜線上を進むと田代山に至る。我々は右に辿って駒木立に向った。

ヤマハハコ
ヤマハハコの群落

 やがて人が一人やっと通れる熊笹の隘路(あいろ)にさしかかる。リーダーは、「これは境界線を示す為に土塁を積み上げた道との事、古の先人達の苦労には頭が下がります」と説明してくれた。最後の急な登りを奮闘して登り切ると、広い山頂にミネウスユキソウが群落をつくっていた。

和名 エーデルワイス
ミネウスユキソウ

 山頂直下には田代平の牧野(ぼくや)が広がり、赤い屋根の山荘がポツンと快く調和して素晴らしい眺めだ。この頂きに立って味わえる眺望で、空が広く誠に気持の良い山頂を充分に堪能した。平庭高原からのヤマセが吹き降ろして来たので、山頂を後にした。

駒木立から見る田代高原 草原にテントが立ち並んでいる
駒木立山頂にて記念写真

 下山の道すがら、山を歩いた証として紀行文を作っている。四季折々に変化する山の選定から進路、そして、山頂に至るまでの過程を楽しみながら、未知の世界に心を弾ませ、自然にふれあいながら楽しく進む。植物や野鳥の名前を覚えることは、単に知識をひけらかす事ではなく、とても大事なことだと思う。もし、名前を知らなかったら、それは単なる木であり、草花であり、鳥であり、山であるだけで、風景の中に埋もれてしまっていることだろう。

 また、山麓の民俗や異文化との出会いなど、登山に伴う様々な体験も見逃せないと思い耽りながら、下山口に降り立った。緑濃い雑木林の梢でホトトギスとウグイスが鳴いている。

 路傍には濃紫のヒオウギアヤメやオオバユリが待っていてくれた。辺りには乾草の匂いが漂う草原を進み、シナノキの大木を鑑賞してから七時雨山荘に山靴を脱いだ。 七時雨自然と語らう会の参加者はそれぞれ帰途についたので、山荘では夜遅くまで、山荘の主人である立花さんを交え、山談議に(ふけ)った。

ヒオウギアヤメ
ウバユリ
タチギボウシ
ユウガギク
シナノキの大木

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