4 雌阿寒岳(1499m){メアカンダケ} ☆百名山☆
県=北海道・道東
同行者=田中さん・高木さん
登山日:2004年7月24日
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北海道の山旅も後半に入り、道央の山中から道東の山域へと道東道(有料)に乗って移動する。帯広ICから足寄ICで下車する間、約70kmの行程であるが行き違った車は6台。その内3台は道路公団の補修車や点験車で、実質たったの3台である。一般道でも充分に賄える土地が有る北海道で、何故その地域に見合った知恵が働かないのだろう。政治屋と土建屋の肥しか。
足寄からR241号線で雌阿寒岳と阿寒富士が聳え立つ、広大な緑一色の麓を走り抜け、先ず阿寒湖に訪れた。静かに佇む湖畔で休憩を兼ねて散策し、一旦来た道を戻り国道から逸れてR664に入り、雌阿寒温泉を過ぎ、一軒宿の野中温泉の手前に大きな駐車場を備えた野中コースの登山口が有った。
早速、登山ポストに登山届を投入して、大きな道標の先に看板が眼に入る。
注意看板には、活火山である
- 落石・噴煙・有毒ガス
- 登山届の提出
- 防災無線のサイレンが鳴った時と、異常を感じた時は直ぐに下山する。
別看板には、ヒグマ・車両盗難・車上ねらいが、多発している注意書きだった。
アカエゾマツの純林帯を、良く整備された踏み込まれた登山道を登り出す。途中「頻繁に熊が出ているから注意」の標識が有ったので、足跡や獣の匂いに意識して歩を進めた。トドマツ、アカエゾマツが天に向って聳えている。
荒々しい樹肌は、厳しい北の自然を生き抜いた風格を感じさせる。倒木の上には、緑鮮やかな幼木が何本も人の手に依って植えられたように、整然と育っていて、発芽したアカエゾマツの種子が可愛らしかった。
二合目を過ぎた辺りからハイ松帯に入ると視界が開けて阿寒湖が静かな湖面を見せていた。傍には初めて拝見する、珍しい金色に輝くシャクゾウソウがエゾ松の枯葉に隠れるように三本立っていた。やがて三合目標柱の先の緑濃い中に濃ピンクのヒメイソツツジが現れ、急登の喘ぎを癒してくれる。
ハイ松帯のトンネルを抜け、火山礫の斜面を大きく抉られた枯れた大沢を越え、ハイマツの丈も山肌を這うように低くなり、頂上への稜線と岩峰が見え、振り返れば萌黄色のハイ松帯と濃い緑に覆われたエゾマツ帯が分布していて見事なものだ。遠く原野の先にはイユダニヌプリ山が裾野を広げていた。
若い活動的な火山であるせいか、山肌は赤むけでお花畑らしいものはないと思っていたら、天は我に恵みを与えメアカンフスマに出会えて感激する。
西側の針葉樹海の中にコバルトブルーのオンネトーが静に姿を現していた。
やがて火山の素肌が現れ、火山礫のZ形に付けられた急斜面を登り、雌阿寒岳の火口壁に辿り着いた。火口からは真っ白い噴煙が立ち上がり、直下の火口壁内輪を覗き込むと焼け焦げた紅茶色や、褐色そして濃紺の壁は異様な雰囲気を醸し出し迫力満点で威圧感を与えていた。
火口底には真っ青な水を湛えた青沼が静かに佇み、時たま銀色のさざ波を流して自然が息をしている様で、いま咳をされたら我々一巻の終わりだ。
火口壁を左に回り込んで最高点に辿り着いた。その時、田中さんが年長者の私に気を使って、私にお先にどうぞと手を差し伸べて道を譲ってくれた。
山頂から天気が最高に良かったので展望は素晴らしい。壮絶な爆裂をした第一火口、荒涼とした二重火口の先には端正な雄阿寒岳が聳え、先ほど訪れた阿寒湖が霞んで見えた。火口の隣には阿寒富士も雄姿を見せてくれていた。100km先の日高の山並みも霞んで望め、昨日登った伏美岳もあの一角に有るのだろうと眺め、山行計画に入っている知床連山も微かに見渡せ期待が膨らんだ。
しばし山頂で眺望を楽しんだ後に、活火山での長居は禁物だ下山に掛る。
玄武岩とスコリア(岩滓)で構成されている火口縁は、アリ地獄のようで足元がズルズルと崩れ、慎重に足元を固めて登って来た道を下る。風向きが変わって、時たま硫黄の匂いがする頃に下山口に無事に降り下った。再びR241号線を走り、途中、双湖台から変った名前の湖ベンケトウ・パンケトウを眺め、次の訪問地、布施明の歌に有る「霧に抱かれて静かに眠る・・摩周湖」を訪れ、強行軍だが野付半島を廻り、羅臼のキャンプ場へと向った。