26 釣瓶落峠(660m){ツルベオトシトウゲ}
県=青森・秋田 白神山地 同行者=総勢十五人の山旅
コーディネーター=旧白神ブナ俱楽部企画 佐々木昇氏
登山日:2001年10月19日
Outdoor Style サンデーマウンテン
恒例の旧白神ブナ俱楽部の佐々木氏より、白神紅葉親交登山のお誘いがあり、石井さん、斉藤さんと夜行バスで出掛けた。二ッ井町で皆さんと合流して、岳岱ブナの森を探勝して、工藤さんが営むマタギ小屋を探訪してから、いい名前の釣瓶落峠への行動予定である。
先ず二ッ井から藤里に向かい、粕毛川と分流した藤琴川に沿って太良峡へと入り、分岐をクルミ台方面に左折して、暫く行くと右側の三蓋山麓の松の木沢出合いに、工藤さんが出迎えてくれたマタギ舎は有った。全て衣食住に使うもの自然からの恵みで補う。人工物は鍋釜ぐらいだろう。詳細は別項で取り上げるので省略する。
その奥にある岳岱風景林に入り、秋の盛りを告げるように、ブナ林は鮮やかな黄葉に彩られ、何百年も生息してきたブナ達に鋭気を頂き、観察しているのが心の底から楽しいひと時だった。
岳岱を後にして分岐まで戻り、白石沢事業所跡を通過し、やや狭くなった岩床の多い白石沢林道を、なおも県境に向かって進む。山域の総てが紅葉の真っ盛り、カエデやナナカマドの無数の紅葉が深紅の色を付け、濃緑のスギそしてアオモリヒバやオオシラビソの森を背景に良く映え、自然の恵みを享受しながら、ゆっくりと登って行く。やがて県境の山膚に突き刺さるように、釣瓶トンネルに入って行った。
トンネルを抜け青森側に出ると、景色は一変して白日の世界であった。ガスが勢いよく流れ出しているトンネルの脇に駐車した。ガイドの佐々木さんが準備してくれた荒縄で滑り止めに靴底に巻き付け、第一歩を踏み出した。狭い沢筋の踏み跡を辿り、浅い徒渉を繰り返して尾根への取り付き点に達し、この辺り先人が造ったであろう足場や針金など、昔日の面影を残していた。沢筋から急斜面ながら、よく踏まれた跡を辿ると峠に登りついた。
釣瓶落峠という名に期待したが、そこはブナやミズナラ・カエデの小径木に陽の輝きを遮られた平凡な分水嶺で、眺望も利かぬ自然そのものだった。一息いれる我々を癒してくれる黄葉、紅葉はあと数日で峰下りして麓へもたらすだろう。と思いながら下山した。今夜の宿は美山湖畔の民宿みかみに投宿した。