更新日:令和4年4月9日|山頂まで2時間半|体力★★★★☆・展望★★★★★・静けさ★★★★☆・技術★★★☆☆・危険度★★★☆☆・初心者~中級者向け|台高山脈の最高峰の百名山はスリリングな山旅となっております。野生鹿にも出会えて、イトザサのじゅうたんやシオカラ吊橋など盛りだくさんに愉しめる山行です。
大台ケ原{オオダイガハラ}(1,695m)
日出ヶ岳{ヒデガタケ}(1,695m)
大蛇嵓{ダイジャクラ}(1,579m)
◆都道府県:奈良県・三重県(県境)
◆登山日:2007年5月23日
◆同行者:石井さん・田中さん
大台ヶ原山は年間降水量が5000mを超える豪雨地帯で、
特に梅雨時は日に400m降る事もある。
その梅雨の入り時に台高山脈と大峰山脈を訪ねた。
昨日、関西のマッターホルンと呼ばれる高見山に登り、
ビジターセンターに寄って大台ケ原の情報を得て、
登山口にある今夜の宿である大台荘に投宿。
8時に山荘を出て、鹿除けの金網が張り巡らされた原生林の山道を行く。
野性鹿が林床の笹を綺麗に食べ尽くし、人手の刈込が入った様な情景で綺麗だ。
先に進むと目指す日出ヶ岳が見え隠れしている。
傍には直径20cmもあろうか、コシアブラ(山菜の女王)の大木が人間の手によって、
根元から1mあたりで伐採され新芽を根こそぎ採って行った族!!
草木の1本たりとも持ち帰り禁止の山域で、
手段を選ばぬ己だけが利益をむさぼる心根が空しく腹が立つ。
下山して聞くと京都の料亭などに高値で売られているとの事だった。
気を取り直して、トウヒの立ち枯れが目立つ山稜に入り、
倒木に宿る新しい生命に勇気つけられ、ここまで余り高低差のない原生林の中を歩き、
コンクリートの石段を登り切ると展望デッキに出た。
まじかに大台ヶ原の最高峰である日出ヶ岳を拝み、
歩幅に合わない木の階段を登って日出ヶ岳に立った。
一等三角点が施設されているだけに、展望はこの時期でも霞んではいたが紀伊山地のパノラマビューが広がっていた。
(大普賢岳・山上ヶ岳・伯母ヶ峰・涅槃岳・釈迦ヶ岳・仏生ヶ岳・弥山など)直下の笹原には野生鹿のつがいが現れた。
しばし眺望を楽しんで山頂を下って、正木ヶ原に達すると、我が目を疑うほど驚いた。
一面の白っぽく立ち枯れしているトウヒの情景だった。
原因は酸性雨とか酸性露とか諸説あるようだが、白骨化した林相は寒々と痛々しい。
辛うじて立っている幹は、葉が落ち掛けて助けを求めるように細い枝を空に向かって伸ばしていた。
この様な情景は規模が小さいが、日光白根山・奥秩父の金峰山稜線の鉄山や
北八ヶ岳の縞枯山で見たことが有るが、こんな大規模の白骨化は始めてだった。
これも人間の限りない欲望に依って、元凶の二酸化炭素を排出しながら
地球の温暖化問題に真剣に取組まない世界の指導者(政治家)の、
己の保身と目先の利益だけを求める現状を有権者は知るべきだろう。
山の樹木にしてみれば痛めつけられて、溜まったものでない。
行く末の樹木は勿論、生物の存続が危ぶまれる褐色の地球になるだろう。
今、生きている人間は100年後を見据えるべき行動を起こすべきであろうと感じた。
大台ヶ原を象徴する独特の情景に別れを告げ、イトザサの絨毯を
敷き詰めた明るいダイナミックナ牛石ヶ原に入った。
熊野の国から大和の国へ道案内したという、
八咫烏を弓にまとう神武天皇像があった。ここで一休み入れて先を急いだ。
やがて帰路の道を分け、直進して大蛇嵓に至ると突然台地が途切れ、
岩峰を慎重に進み二等三角点標石のある、断崖絶壁の頂に立った。(1679m)
鎖で守られた先端に立つと本当に蛇の頭に乗っているようで、
眼下には垂直に800mほど切れ落ちていて、度肝を冷やすスリル満点が味わえる。
谷を隔てた岩壁には落差245mの滝が望め、
背後に不動返嵓と蒸籠嵓の遥か彼方に大峰山脈が連なっていた。
晴天だったのでスリル満点だったが、雨天ならとても危険で味わえない。
楽しんだ後、来た道を三叉路まで戻り、シャクナゲが咲くトンネルを潜り抜け、
シオカラ吊橋を渡って駐車場に戻った。
小休止して次の訪問地である便石山へと大台ドライブウェイを走り、
関西での芽吹いたばかりの新芽のブナを眺めながら、
展望台から大峰山脈の大普賢岳などの山容を脳裏に焼き付けた。
R309号線の行者還トンネルを抜けて、行者還岳と弥山の登山口から大峰山脈の主峰、
弥山を眺望してR425号で熊野灘の海辺にある「ロッジ山水」に投宿した。
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